生きのびるための健康の話

生きのびるための健康の話

病気にならないための健康の話です。

困難に打ち克つ強い心のつくり方 中村天風「心身統一法」の話。

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今回は健康の5つの要素の内、最後の「心の状態」についてお話します。

ikinobiru-kenko.hatenablog.jp

「心の状態」とは何かを簡単に言うと「感情」のことです。

「感情」というものが、健康に影響を及ぼすということは、もう実体験としてわかっている人も多いと思いますが、簡単に説明すると、

「感情」には、

「プラスの感情」「マイナスの感情」

があります。

「プラスの感情」は体に力を与え、自然治癒力も高め、健康にもつながります が、怒りや恐れ、悲しみなどの「マイナスの感情」は、それとは反対に、体の力を弱め、自然治癒力を減退させ、病気の原因を作ります。

では、もう一歩先に進んで、そもそも「感情」とは一体何なのでしょうか?

感情とは何か?

「感情」とよく似た言葉で「心」というものがありますが、二つは違うものです。

「感情」とは「心」そのものではなく「外部刺激に反応する心の動き」のことです。

「心」と「感情」の関係は、よく「海」と「波」に例えられますが、まさに「感情」とは波 のことで、波とは、ただ海水面が上下運動してできる現象のことです。

なので、ほっとけば勝手に静まるものなのですが、そこに執着すると、いつまで立っても波(感情)はおさまってくれません。

また、感情を、心そのものだと勘違いすると、実態は単なる反応なのに、自己の内部から生じているものだと思い、自己嫌悪に陥ったりします。

 

プラスの感情になるには?

では次に、プラスの感情になるにはどうすればいいのかですが、プラスの心からプラスの感情が生まれるなら、プラスの心をどのようにしてつくれば良いかがわかればいい わけです。

はい、そして、ようやく今回の本題に入ります。フゥ〜(笑)

 

今回紹介するのは、プラスの心(強い心)をつくるためにはどうすれば良いかを教えてくれる 中村天風 さんの「心身統一法」になります。

では、最初に天風さんについてご紹介します。

 

中村天風とは?

中村天風さん(1876〜1968)は、明治生まれの方で、元々軍事探偵として、日露戦争で活躍しました。

その後、当時不治の病であった肺結核を患い、自分の病を治すために、世界中を旅し、その過程で、ヨーガに出会い、肺結核を自力で治し、日本に帰国します。

帰国後は銀行や会社などの事業で成功したのですが、突如感ずるところがあって、社会的地位や財産を処分して、インド体験を基にした講演活動をはじめました。

その講演には、東郷平八郎山本五十六などの軍人から、政治家や禅僧まで、政財界の錚々たる有力者が聞きにきたといいます。

また、戦後には、天風哲学から人生を学んだといわれる人の中に、松下幸之助稲盛和夫などの有名企業の経営者や社長がいます。

日本に初めてヨーガを伝え、日本の政財界トップにも影響を与えた スーパーおじいちゃん(笑)であるわけです。

 

心身統一法とは?

天風さんは、自身が作り上げた心身健康法をまとめて「心身統一法」と名づけました。

また、ヨーガという意味が、元々「心と体を結びつける」という意味なので「心身統一」とは、天風さんによる「ヨーガ」の日本語訳でもあります。

「心身統一法」では 心の働き、心の持ち方を大変重視 しており、心を積極にすることで、健康にもなり、人生の困難にも打ち克ち、夢も実現することができる と言います。

なので、天風さんは「成功哲学の人」として紹介されることも多いです。

 

強い心をつくるには?

強い心 をつくるには、天風さんは 二つの条件 が必要だと言います。

それは、

  1. 心はいつでも「プラス思考に保つ」こと
  2. 心を使うときは必ず「集中する」こと

です。

プラス思考とは、明るく、朗らかで、生き生きとして、勇気があることです。

言うのは簡単で、行うのは難しいのですが、そのための方法として、潜在意識の中味を改善 することだといいます。

元々、生命というのは積極的なもの なので、ひとたび、潜在意識の中味が改善されると、勝手にプラスの要素が湧いてきて、努力しなくても自然にプラス思考が可能 になると言います。

そして、潜在意識の改善には「言葉による自己暗示」が効果的だといいます。

また、一日に一回、暗示が無条件に潜在意識に受け入れられる時間帯が、脳が眠りに入ろうとする「睡眠前」なので、その時になんでもいいから、プラスの暗示の言葉をささやく とより効果的だといいます。

天風さんが創作した暗示の言葉もあり、この言葉は「誦句(しょうく)」と名づけられ、いくつかあるのですが、その中でも自分が一番好きでパワーを感じる誦句をご紹介します。

私は力だ、力の結晶だ。

何ものにも打ち克つ力の結晶だ。

だから、何ものにも負けないのだ。

病にも、運命にも、否あらゆるすべてのものに

打ち克つ力だ。

そうだ! 強いつよい力の結晶だ。

(「力の誦句」)

 

また、「集中」とは、目の前の対象に注意を向けることだと考えている人が多いですが、実はそれは間違いで、正しくは、目の前の対象を自分の心にひきつけて認識すること だといいます。(前者は「傾注」といい、「集中」とは逆のものになります)

なので、集中している状態では、心は対象にとらわれずに、対象を心の方へと吸引 しています。

 

以上が、強い心をつくるための条件でしたが、

「心身統一法」には他にも 心を空にする「安定打坐法」と呼ばれる天風式の坐禅法もあります。

心を空にすることで、より高度なプラス思考や集中である「絶対積極」や「三昧」と呼ばれる境地に入るといいます。

これは、ちょっと健康ブログの範疇ではなくなるのですが、天風哲学の一番根底の部分 でもあるので少し紹介します。

天風哲学では、真の自己(真我)とは、心でもなければ肉体でもなく「霊という気体」である といいます。

また、心は、真我が自己表現をおこなう道具 であり、肉体は、その心の働きを表現する道具 に過ぎないといいます。

そして、生命力は肉体ではなく、真我である「霊という気体」に与えれており、心をプラスに働かせることで、肉体に流れ込み、自然に健康が回復するといいます。

それが生命や健康についての正しい認識であり、自分の本来持っている生命力をマイナスの感情で弱めるべきではないというのが天風哲学です。

 

ぜひ天風さんの本を機会があれば読んでみてほしいと思いますので、読みやすく、最初に読むのにオススメの本を紹介します。

 

運命を拓く (講談社文庫)

運命を拓く (講談社文庫)

 

 

また、呼吸の回で紹介した合気道の達人、藤平光一さんも天風さんの教えに影響を受けており、師匠である植芝盛平さんと天風さんについて書かれた本もとても面白いのでオススメしておきます。

 

中村天風と植芝盛平 氣の確立  幻冬舎文庫

中村天風と植芝盛平 氣の確立 幻冬舎文庫

 

 

以上で、天風哲学のお話を終わりにしますが、次回は、もう一つ有名な心の健康法についてのお話をします。ではでは。