自分自身の使い方を学ぶ「アレクサンダー・テクニーク」の話。
今回は健康の5つある要素のうち、「姿勢」についてお話します。
日本語の「姿勢」には二つの意味があります。
一つは、見た目や格好 のことで、
もう一つが、物事に対する態度 という意味で使われます。
そのことから、「姿勢」とは、
「態度が見た目に表れたもの」
と言えるのではないでしょうか。
では次に、「姿勢を良くするにはどうすればいいか」ですが、「そもそも良い姿勢がどのような姿勢なのかがわからない(笑)」という人が多いのではないでしょうか。
結論から言うと、体は一人ひとり違うので、良い姿勢は人によって違う ものになります。
しかし、「良い体の使い方はあるよ」というのが今回のお話になります。
具体的な姿勢術として、今回は「アレクサンダー・テクニーク」を紹介します。
日本ではあまり馴染みがなく、なんだか洗脳されそうな名前ですが(笑)、世界的には演奏家やダンサー、俳優にも取り入れられ、大学でも教えられているような有名なボディーワーク(からだの使い方)なのでご安心ください。
アレクサンダー・テクニークとは?
オーストラリア人の舞台俳優であったアレクサンダーさんが、自身の体調不良から体を徹底的に観察し、発見した「からだの使い方」のことです。
良いからだの使い方とは、
「からだの不必要な緊張に気づき、それを取り除くこと」
であるといいます。
そして、からだの自然な動きを妨げなければ、体が活性化され, 本来もっている自分の能力が解放される と考えます。
不必要な緊張とは?
アレクサンダーさんが言うには、頭と脊椎(頚椎の1番)の間、専門用語で言うと、AO関節のテンション(緊張)を取り除くことが大切であるといいます。
そこが固まっていると、からだ本来の能力を引き出せないといいます。
よくパソコン仕事などをしていると、あごが突き出て、頭と首が一つになってガチガチに固まっているような状態になります。それが一番最悪だということです(笑)
なので、意識的に
「頭を上へ向かって持ち上げる」
ことが必要となります。
頭のてっぺんに風船 がついていて、上から引っ張られているようにイメージするといいかもしれません。「ぶら下がる」のではなく「ぶら上がる」みたいな感じです。
そうして、頭の頚椎の間のテンションが緩むと、からだは本来持っている自然の動きを取り戻し、結果として背筋が伸びる というのが、アレクサンダー・テクニークの考えになります。
この頭と首のテンションを緩めることで、発動されるからだの働きのことを「プライマリー・コントロール」といいます。
また、体を動かすときに、動かす部位の 先端 を意識することが大事になると考えます。
これをアレクサンダー・テクニークでは「リーディング・エッジ(導く先端)」といいます。
例えば、先ほどの頭を持ち上げるのあれば、頭頂点の一番先端を意識し持ち上げることであるし、腕を伸ばすのであれば、一番先端である中指の先を意識して伸ばすと一番大きな動きができます。
首の始まりの位置とは?
頭と首のテンションをとるのが大事だというのはわかったけど、その位置がわからないと意味がありませんね(笑)
実は、想像しているよりも上にあります。
首の先端は、「鼻の頭」の位置にあります。
頭をうなずいてみるとわかるのですが、目の位置でうなずくと上すぎで、のど仏の位置では下すぎで、鼻の頭の位置だとちょうどいいのがわかると思います。
まずは、そこに頚椎の1番目があることを知ることが大事です。
そして次に、そこに頭がちょこんと乗っかっていることを意識して、その 接続部分の筋肉を常に緩める ことが大切になります。
肩の力を抜くには?
「肩の力を抜いて」とよく言われたりすると、逆に肩に力が入ってしまうということが多いと思います(笑)
それは、肩の力を抜くのに、肩を意識してしまうからです。
肩に力が入っている時は、まさに、頭と頚椎の間 に力が入っており、そこを 緩めれば、肩の力も自然に抜けます。
体操との違いは?
アレクサンダー・テクニークは、体操やマッサージみたいなものと誤解される方も多いのですが、目的が違うので別物になります。
体操やマッサージは、脱力や柔軟が目的で、自分の体の使い方を教えるものでもありませんし、学ぶものでもない というところが違いになります。
健康にいいの?
姿勢が悪いと、臓器に不要な圧力がかかったり、循環機能も低下します。
からだをまっすぐにしていると、臓器はゆったりし、呼吸がマッサージの役割を果たします。また、病原体が原因ではない、ストレスからくる疾病(耳鳴りや偏頭痛)に対して効果があると言われています。
姿勢を良くすることは、肉体的にも精神的にも 悪いものを寄せ付けない効果が大きい と思います。
ざっと、アレクサンダー・テクニークのお話をしましたが、やはり、なかなか言葉で説明するのは難しいので、上記のポイントを押さえつつ、一度、指導者の元でレッスンを受けるのが良いと思います。
最後にオススメの本を紹介しておきます。
アレクサンダー系の本は、レッスンを受けたことがないと、読んでいてもつまらないことが多いのですが(笑)、この本はイラストも多く、とても親切なので、いきなり読んでも楽しいと思います。
演奏者のための はじめてのアレクサンダー・テクニーク ~からだを使うのが楽になる~
- 作者: 石井ゆりこ
- 出版社/メーカー: ヤマハミュージックメディア
- 発売日: 2014/02/22
- メディア: 単行本
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以上で、アレクサンダー・テクニークのお話を終わりにしますが、次回は、その弟分的な、フェルデンクライスについてお話ししようと思います。
フェルデンクライスをやることで、アレクサンダーの理解がグッと深まります。
ではでは。